子規さんとあそぶ午後 『笑う子規』 天野祐吉 編 南伸坊 絵

例えば、予定のない休日の午後、お供にあって欲しいのは、お茶かコーヒーと、クッション。
寝っ転がって、クッションを2つ重ねた上に頭を乗せて、安全な位置にお茶を置いて。
のんびり本なんか読めたら最高です。

そういう時の読書は長いお話を読んでも集中力が出てこないもので、思いつきで好きなページをパッと開いて楽しめる本だと良いなぁと思います。

「おやすみ図書」の4冊目は、そんな時間のお供にオススメしたい一冊。
どのページから読んでも楽しい本です。気が付いたら夢中でしっかり読んでいたりして。


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『笑う子規』
正岡子規 天野祐吉南伸坊
(ちくま文庫)



正岡子規のおかしみの強い句、笑える句を集めた本。

ページを開くと大体右側に正岡子規の俳句があって、左側に編者の1人、天野祐吉さんが短い言葉を書いてます(これがまた、楽しいのです。俳句と関係あるような無いような内容で。)。そしてもう1人の編者・南伸坊さんが絵を書いています。

これが中々愉快な本で、どのページを見ても楽しい。

この本は「"子規さん" の冗談好きの明るい面を紹介したい」という目的の下、子規さんの笑える句を集めた本なので「俳句なんて興味がないよ」という人が見てもちょっと面白いのです。それに南伸坊さんの絵がなんとも可愛くて、笑ってしまいます。
ゆるい空気感があったかい。


正岡子規は、脊椎カリエスという激しい痛みを伴う病気を患いながら、文学活動や句作を続けた人です。
しかしこの本の句からは痛みを感じません。(明らかに病床で詠まれたとわかる句もあるのですが)
あるのは楽しさや、クスクス笑いたくなるようなおかしみ、絶妙なセンスのよさ!


「子規さん」の俳句ひとつひとつと、天野さんと南伸坊さんと遊んでいるような気持ちになります。

それにこの本を読んでいると、うふふと笑いながらも、何だか決意のような気持ちで「朗らかでいよう」と思うのです。