『星を賣る店』 クラフト・エヴィング商會 

私が思うに、何も考えたくないけど心が落ち着かない夜は、 ものすごい短文もしくは図録がおすすめです。

手に取ったそれを、文字を読むというより、柔らかく目を通す、位の感じで読むと、 心がやがて和んできます。

選ぶ本は、そんな読書方法を許してくれそうな(何に許してもらうのか、という話題はさておいて…)、寛容そうなものだとなお良いです。

という訳で、

おやすみ図書の16冊目は、「クラフト・エヴィング商會」 という不思議なセレクト・ ショップが仕入れた商品の図録に致します。

文字を読んでも、何となく眺めるだけでも

美しくてユニークな考えがこの世にはあるんだなと思える本です。

………………………………………………………
『星を賣る店』
クラフト・エヴィング商會 著
平凡社

 

この本は2014年に世田谷文学館で開催された「クラフト・ エヴィング商會」ーー「ないもの、あります」 の看板を掲げ麗しくも奇妙な製品を在庫にもつーーによる棚卸的展覧会の公式図録で、一般書籍としても販売されている本です。


本の前半では「クラフト・エヴィング商會」が仕入れたという商品の紹介、後半は、同商會が手がけた書籍の装丁を紹介しています。


図録ではありますが紹介文や内容が面白く、展示会を知らなかった人が読んでも十二分にたのしい。 一般書籍として発売されているのも納得です。

 

この図録を「クラフト・エヴィング商會」 について何も知らない人間が突然読んだら、異世界にさらわれた感覚になるんじゃないかしら。

 

「何だか変」と思いながら、その品々の良さ、 ありそうもないものがあるような気がするケムに巻き感 、の割に堂々とした文章、のもつユーモアや素敵さに惹きつけられてしまう事でしょう。

お品物にも文章にも装丁にもお客様の声にも全てに茶目っ気と愛があって、疲れた心が癒されます。

 

今夜夢の中に持って行くアイテムを探したい人は、商品カタログとして読む事もおすすめです。